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NICENICE MOMENT POP-UP STORE

桜が満開の晴れた日に娘が小学生になり、その桜もあっという間に葉桜になって、今日は車の気温が28℃を示していて麗らかな春の日々はもう去ってしまったのか…と少しさみしく家の前の桜を見上げました。⁡でも、新しく買った春物が着れるのはうれしい。 さて、今日は明日からポップアップがスタートする新しいブランドのご紹介を少し。NICENICE MOMENTは、高度な技術を持つ下着メーカーにより専用開発されたブラカップとニットウェアを一体化させた機能的なファッションアイテムを提案するブランドです。 ⁡カップ付きのウェアやインナーはたくさんあるけれど、締め付けがキツくて身体に段ができたり、着心地は楽だけどズレてきたり、カップ部分が浮いてしまってフィットしなかったり…。私はこれまで買ってはみたけどしっくりこないという経験をたくさんしてきました。服も下着もそれぞれ買う時はしっかりサイズを選ぶのに、カップ付きのものになると急にサイズの選択肢が消えてしまって自分の身体に合うものを選ぶというごくシンプルな要求が叶わなかった。 ⁡けれど、NICENICE MOMENTの商品は、3D構造のカップと、ワイヤーやゴムではなくハイパワーストレッチジャージという高ストレッチ素材が背中までぐるっと身体を包んでくれる仕組みになっていて、とにかくフィット感が抜群に良い。そしてボディサイズ、カップサイズそれぞれにサイズ展開がされていて、より自分に最適なフィット感のものが選べます。 ⁡今シーズンはニットのバンドゥを買って着ているのですが、線ではなくて面で支えてくれる構造なので締め付けがないのに本当にズレないし、食い込まないので背中の見え方もとてもきれいです。お店の設営で身体を動かす作業の時も着てたけどノンストレスでした。すごい。20代の頃とは身体のラインもインナーに求めるものも変わってきた。過度な補正は必要ないし快適な着心地ででも身体を美しくみせてくれるものを選びたい。⁡そして、機能だけでは足りなくて着る楽しさも大事。気負わずに毎日着れるシンプルさにヘルシーな色気もちゃんと感じられるところが私は好きです。 ⁡明日からのポップアップでは、カップ一体のニットシリーズや、インナーとセットの新作、定番のインナーシリーズなどサイズも含めて幅広く見ていただける機会となります。ぜひお店でお試しください。

野生の思考

  先日、新月の星空をみるため、能登へ向かいました。能登の夜は灯りが少なく、雲さえなければ星空が頭上に鮮明に広がります。崖の上で空を見上げ、その暗さに目が慣れてくると、金沢の街からは明るさに隠れて見えないような小さな星たちも見えてきて、みんなで喋らずに静かに空を見上げていました。そのとき、「ぼうっ」と耳のそばで風の音がしたのです。風の音なんていつも聴こえているはずなのに、いつもは聴こえてないものなんだな、意識が向いていないものなのだなと感じました。大昔、この崖の上にいた人は、私たちのように余暇としてではなく、何かから自分たちを守るように耳を澄ませていたかもしれません。 数日後、今度は富山で焚火をしました。炎の揺らぎを前にすると、それだけで不思議と無言が成立してしまうのが心地良く、ずっと眺めていられます。自分はすっかり火の見張番に徹してしまったのですが、みんながおにぎりや豚汁を作ってくれて、一緒に食べれたこともとても幸せに感じました。普段の生活では、なかなか火を囲んで集まるということは少なく、すっかり囲炉裏(いろり)が欲しくなりました。外食の場では体験したことがあるものの、日常的の中でそれで暖をとり、料理をし、それを囲んで会話をしたりすることができたらと考えると、なんだかとてもわくわくしてきます。 さて、今回のタイトル「野生の思考」は、文化人類学者 レヴィ=ストロースの著書から拝借したものです。彼は、西洋の理性的な思考方法が優れているという見方に反論し、原始的な社会における思考方式が、単に未発達なものではなく、むしろ非常に複雑で深遠な論理的構造をもっていると唱えています。 見上げた星、聴こえた風の音、焚火の揺らぎ、次は囲炉裏を前に、この「野生の思考」について改めて考えてみるのも悪くなさそうです。

Maddalena Selvini

  ミラノを拠点に活動するMaddalena Selvini (マッダレーナ・セルヴィーニ)。石や羊毛、木、紙といった古来からの素材文化の調査と、オルタナティヴな生産方法に焦点を当てたデザイナーです。ちょうど最近、彼女がユニークに梱包してくれた荷物が届き、中から出てきた品をお店に並べている状態です。 まず、紙と紙からなる容れ物。厚さの異なる平面の紙同士を折り、組み合わせていくと、それぞれの紙の張力が重なって自立性が生まれます。買ってくださったお客さま方にも、なるべくご自身で組み立ててみてほしいということ伝えながらお渡ししています。そうすることで、このプロダクトがいかに面白い発想でつくられたかということが伝わると思うからです。 そして、もうひとつは、まるでワンタンのようなフェルトのピロー・クッション。彼女は、フェルトは綿や他の織物よりも粘土に近いと表現しています。熱に触れた羊毛繊維は収縮し、どんな形にもなる。そして、織物のように柔らかくて薄いものにも、土のように硬くて厚くてコンパクトなものにもなると言っています。座布団や枕、クッションといったそれらの休める要素を折衷したような、穏やかな弾力が魅力的です。いつも硬くて座りにくかった場所もすっかり居心地良くなるわけですから、物を通した居場所の創造でもありますね。 次は、石とそれに乗った不思議な立体から成るディフューザー。石の中にはキャンドルを、上に乗せた立体にオイルを垂らすことで、香りを立ち上らせる仕組みです。この不思議な立体は、石を回転させる際に発生する粉塵を型に入れ、高温で固化させたもの。その出来上がる立体の多孔性に着目しなければ、きっとディフューザーにはならなかった。私たちはこれにAPFRのフレグランスオイルを組み合わせ、毎日香りをたのしんでいます。曲線の柔らかさもあるからか、なんだか生き物のような、新しい家族のような愛らしさを感じています。 また、私たちがインテリア類をディレクションしているリラクゼーションスペース THERAPY-Cにもベニヤのバスケットを配置しました。こちらはレーザーカットされたフレキシブル・ベニヤの平面パネルを曲げながら組み合わせていくもので、ベニヤの反発力が小さな空間を形成し、その模様が湾曲していく様子がとても美しいです。品名の"チェスト"はギリシャ語で"箱・編...

ゼルダの伝説

  子どもの頃、ゲームを通してとても良い体験ができたなと思うものがいくつかあります。そのひとつが“ゼルダの伝説”。今度は自分の子どもがゲームを理解したり興味を持ち始めたタイミングだったので、SWITCHでリリースされている令和のゼルダを買い、家族全員で相談しながら進めているところです。 ご存知の方も多いと思うのですが、このゲームはただ敵と闘って強くなるだけでは進めません。知恵を使い続けなければ前に進めないようになっています。例えば、崖の上に行きたいけれど、そこに階段がない。そしたら足場となる箱や木、トランポリンを組み合わせて使うなど、実際の社会と同じように工夫が必要なわけです。火と水の関係、物の方物曲線や空気抵抗といった法則が存在するため、それらの反応や組み合わせを駆使しないと進んでいけません。 今回、何十年振りにこの新しいゼルダに興味がわいたのには他にも理由があって、主役が男の子ではなく女の子(ゼルダ姫)というところ。そして、なんといってもグラフィックの美しさ。登場人物たちのポップなかわいらしさに加え、フィールドの色彩もまるで異世界を旅するような独特な情緒を感じさせます。 謎解きはもうすっかり親より子どもの方がお手のものです。どんどん知恵や試行を繰り出していきます。いつか大きくなったときにも、家族みんなで相談しながらゲームをクリアしたことと、遊びと勉強を分けたり隔てる必要のないことを、どこかに感覚として憶えていてくれたら嬉しいなと思います。

TUKI heavyweight cotton terry

  TUKIのスウェットパンツ。今期はロンジョンに加えて、新たにショートのコットンボクサーも加わりました。まだ金沢は寒いので、ロンジョンの上にコットンボクサーを重ねて穿き、長短のセットアップで過ごしています。もう少し季節が進み、暖かくなったらショート単体で穿こうかなと、楽しみを二段階に試みているところです。 ヘヴィな編み立てやフラットシーマといった細部の美しさ、緻密に調整された完成度の高さは一目瞭然なのですが、ここ数シーズン続く、いつもより弾力感のある素材使いの連鎖に、とても新しい表現を感じています。 そういえば、今期から片側にだけポケットが付きました。デザイナーの原田さんに「今回はポケットがついたのですか」と訊いてみたところ「はい、片側にだけ、違和感があって良いかなと思って」という気持ちの良い答えが返ってきました。ファッション関係の人たちが、パリだパリだと騒いでいる時期にも、静かに町内の草刈りをしている原田さんがとても好きです。