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GIFT IDEA 🎁

  すっかり年末の雰囲気、贈物の多い季節となりました。COPYLEFTは一年中、贈物のご相談が多いお店なのですが、毎年この時期となると、お誕生日はもちろん、クリスマス、ホリデーギフトとご相談が増える傾向にあります。 既にお相手の方の欲しいものがはっきりしてらっしゃる場合もあるのですが、"何をあげたらよいのか"と迷ってらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。それはそうですよね。私たちはこの仕事をしているから、たくさんの方のご相談を受けるわけですが、そうではない立場で、同性の方だけでなく異性の方が喜ぶプレンゼントを探すというのはとても難しい。しかも仕事の休み時間、終業後、忙しい休日の合間に、となるとその時間をつくるのにもハードルが多いのではと思います。 少し自分の話になってしまうのですが、私は昔、自分では絶対に選ばなかったであろうプレゼントをもらったことがあります。極端な言い方をすると、いつもの自分では選択肢にすら入っていなかったものをもらう、驚きが大きいですよね。でも、相手が自分を考えて選んでくれたものだから、逆に興味が湧いたとうか、新しい発見に近く、自分の範囲がひろがった。きっとそのときにプレゼントでもらわなければ、ずっと自分と縁の無かったものだったと思うのです。でも、それが嬉しいし新しい。 特に今なんてもう、誰ものタイムラインに、緻密なアルゴリズムでその人の欲しいものや、欲しいであろうものが溢れ返っていて、みんな既に情報で胸焼けしているような状態にもあると思うんです。だからこそ、感覚や気持ちで選ぶこと、想定外のものにも価値があると、私たちは考えています。小さなプレゼントも、大きなプレゼントも、迷ったときはぜひご相談ください。 これから私たちも、どんなシナモロールをプレゼントしようか迷うところなんです!

阿川佐和子さん🧑🏻

  先日、友だちがお酒の席で興味深い話しをし始めました。阿川佐和子さんについてです。 阿川さんは9年半もの間、お母さんの介護を経験されていて、途中からお父さんの介護も加わり、そこにご自身の更年期も重なっていたという、とても大変な経験をされているわけですが、自分たちにとって何が興味深かったかというと、彼女が「サボっていた」と公言している部分にあります。彼女は、介護をしながらゴルフに行って、お母さんに「あなた疲れた顔してるわね。仕事が大変だったのね。」と言われていたけど、実はゴルフに行っていただけという、その後ろめたさをつくることで、少し相手に優しくなれたそうです。 また、ある時は、お父さんに一生懸命に持っていった食事を「不味い」と言われ、腹が立ったから、こっそりお父さんのお金で自分のブラジャーを3本買ってやりました(笑)とも話されたりしてて、なんて気持ち良いエピソードだろうと思ったわけです。 私たちの周りにある、"こうあるべき"や”正しくあらねばならない”って、もちろん周りから決められているような部分もあれば、実は自分たちの心の中で勝手に作り上げてしまっている部分も大いにあるわけで。しかも、その環境は境遇は変えにくいけれど、自身の考え方はまだ調整がしやすい。 しなやかに不真面目に。「堅すぎる木は折れる」と説いたのは老子だったでしょうか。 この夏も実家の仏壇にAPFRのお香を立て、日頃の愚行を先祖に窘めてもらおうと目論んでいるところです。

Nukeme Exhibition "Lease Your Body" 🪡

Malcolm Mclaren(マルコム・マクラーレン)による1983年の曲、 D'ya Like Scratchin' (Special Version)。初めて聴いたときももちろん新鮮で面白かったのですが、いつまでの新しい発見があって面白くて。オールドスクールなビートの上で展開されるそれは猥雑なのに上品。"ScScScSc、Scratchin'Scratchin'..."というフレーズ、異常にエレガントな上物のメロディー、やっぱり自分にとってはいつ聴いてもシニカルで美術性の高い音楽なのです。この"ScScScSc、Scratchin'Scratchin'..."というフレーズを聴いていると、それがこの2020年代に進行形の表現を行うアーティスト Nukeme(ヌケメ)氏の頭の中、ひいては彼のミシンの音、さっきのフレーズ、Scratchin'Scratcn'...が、すっかりGlitchin'Glitchin'...と変換されていくように、いつの間にかレコード針のその先からミシンの針先へワープしている感覚に陥ってきてしまいました。 彼の表現は、コンピュータミシンの刺繍データを意図的に改変し、刺繍の針の動きに破損やエラーのような状態を発生させることで、新たな表現を生み出す刺繍手法、グリッチ刺繍。キャンバス作品も存在するのですが、衣服を支持体とした作品も制作していて、今回はそちらを展示し、オーダーの相談を受け付けているところです。 "Pornhub"と“Pfizer”をグリッチして、そのタイトルが“Mr.Lonely”、"Calvin Klein"と“デパス錠”で“Dazed and Confused”ですから、これはもう社会的皮肉がたっぷりなわけですが、ロジックそのものや時代に対してのスタンス、その特異性はもちろん前提のものとして、最終的なグリッチ刺繍の完成度の高さにも感嘆せざるを得ません。昨今、とりあえず大ネタの風呂敷だけを広げたようなシニカル風(あくまで風)なものはたくさん存在すると思うのですが、そのほとんどに緊張感がなく、私たちにはとてもつまらなかった。彼はもっと暗闇から社会に眼を開いていて、それら事象...

漁師だったおじいさんの話 ⚓️

  いつもJILL PLATNERをつけてくれている友人が、とても興味深い話をきかせてくれたことがあります。それは、彼の漁師だったおじいちゃんの刺青の話です。仕事をしていて海で亡くなった場合、顔や身体の損傷が激しいと身元が分からなくなるため、自身の身元や、漁組合や地域によっての所属を示す目印としての役割があったそうです。 自分でも調べてみると、歴史的には、海洋民族だった古代日本人が漁をしながら刺青をしていた理由に「魔除け」の意味もあるらしく、危険を伴う仕事に携わる際の風習だったのかもしれません。JILL PLATNERはジュエリーなのですが、ファッション的というよりは、このおじいちゃんの刺青にどこか感覚が通ずるような気がします。ちなみに、その友人は「Rebel」という名前のブレスレットをつけてくれていて、そこもなんだか彼らしいとうか、妙に腑に落ちる部分です。 そして、次は先日ブレスレットをオーダーしてくださった男性のお客さんの話です。いつもご家族でお買物にきてくださる方で、今回は奥さまの付き添いだったのですが、ちょうど展示してあったJILL PLATNERに興味を持ってくださったのです。普段、全然アクセサリーはつけないし、あまり興味もなくてと仰っていて、でもふと手に取ってくださったのが「Ember」という作品。訳すと「残火」という意味があり、金属の造形も正にそれなのですが、「家に暖炉があるんですよ、これなら自分がつけても合うかもしれませんね」と、その意味も兼ねてオーダーをくださったのが印象的でした。 どちらのエピソードも、眼に見えない部分での精神的な呼応なのではないかなと思っていて、これは流行の上澄みを救ったような、表層的な表現のジュエリーでは成せない業なのだろうなと思います。完成までには、オーダーから数ヶ月お時間をいただくのですが、楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。

JILL PLATNER 🪨

  年齢を重ねてくると、アクセサリーをつける意味も段々と変わってきました。それは誰かにみてもらうような、自分を飾るような感覚とは真逆、もっと内省的な感覚で、何かの印やお守りのようなものに近いのかもしれません。私たちがつけているJILL PLATNER(ジル・プラットナー)のジュエリーもそのひとつです。自然界の形態やテクスチャーを源に生み出される有機的なフォルムは、とてもオーガニックなインスピレーションから生まれたもの。ただ、それが単なる自然回帰に帰結しない、極めて洗練された造形となっているのは、制作の場を東海岸とし、ジュエリーだけでなく大型の金属彫刻作品も手掛けている彼女のコンテンポラリーなセンスではないでしょうか。 そして、私たちはそれが20世紀の彫刻家たちとも通ずるものがあるようにも感じています。例えば、イサム・ノグチが石や金属で追求した、動的な静寂。また、自身の作品を「抽象ではなく 本質を表現した具象」と語ったコンスタンティン・ブランクーシなどもそれに当てはまるように感じています。もちろん、今健在なのはジル・プラットナーだけですが(笑)。彼女の作品を手にとられる際は、ぜひその作品名も私たちに訊ねてみてください。"Birdbone" "Seaform" "Gloriosa" "Armadillo"など、妙に腑に落ちる歪みや曲線が新たにみえてくるかもしれません。 また、実際のジュエリーの一部分についても触れておきたいと思います。よく訊かれるのが、ブレスレットやネックレスに用いられている紐について。これはTENARAという特殊繊維を編み込んだもの。水を吸収せず、太陽光に長時間晒されても、色褪せどころか強度も劣化しないという、非常に耐候性の高いものです。これは、自身がサーファーであるライフスタイルを起点とした選択と思うのですが、やはり何年も着けている私たちのブレスレットも、TENARAに劣化の面影はなく、普段の生活の中でもこの強度に信頼をおいています。金属部分を丁寧に手入れするもよし、経年変化に任せるもよし、つける人の自由が良いと思います。 誰もが知るハイブランドでもなく、かつてのシーンを席巻したネイティヴのそれでもなく、現代の私たちが、これから歳月を重ねながら身につけていきたいものは何な...